2/21(日)まで、伊那文化会館で『チカクアルセカイ』展が開催されている。
障害がある方7名による作品の展示で無料。
歴史や常識、文化の因襲を越えて作り手個人の内面から生まれる動機と独創性を持った作品が、
アウトサイダーアートと総称されてから30年以上が経った。同県では、’98アートパラリンピックから認知されるようになった。主催のボーダレス・アートミュージアムNO-MAでは障害者の日常の中の表現の面白さから「人の持つ普遍的な表現の力」をリアルに感じられる企画を行っている。
タイトルは、私たちの身近にいるアーティストの紹介と私たちが作者と制作中の作品との距離を
そのまま体験することで作者の内面的な世界にも近づけるアウトアートの面白さを象徴している。
「箱(未完成)」臼井明夫さんの作品は、未完だが子どもの頃にわくわくしながら作ったような
宝箱や箱箪笥のような印象を受ける。材料をほとんど購入せずに拾って作っている
「無題(コントロールセンター)」山崎健一さんの作品は、手で描いたとは思えない細かさ。
先にコンパスを置いてから線を記入するらしく、その針の穴が開いている。自分の思考回路ももしかしたらこんなに複雑なのかもしれない。すべてが機械的でなく、絵柄も入っていて温か味がある
「無題」吉澤 健さんの作品は、細かく均一な大きさの文字が羅列されている。主には眼にした看板などのメーカー名が多い。一つの行為にもの凄く集中できるのだなぁと人の行為の可能性に驚く
「電車」水谷 伸郎さんの作品は、ついつい見入ってしまう本物そっくりの出来栄え。
これが、紙とビニールと色鉛筆で出来ていて、しかも椅子まで再現されているから凄い!!
「無題」月内 祐樹さんの作品は、真ん中に猫が描かれそれを取り巻くようにたくさんの線や文字が
見える。色合いがきれいで躍動感があるなぁと思える。近くで見ると複雑な線の絡み、そして夢中さや妥協のない衝動などがあったのかと考えさせられる。そんな痕跡が観て考えて体験できるのが貴重な経験のように感じられた